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【 剛構造と柔構造】youtubeで見る、地震での揺れかた。

公開日:2020-11-01 カテゴリー:伝統工法, 建築 タグ:

現在一般的な住宅のつくり方である「在来工法」と、今回建てようとしている「伝統構法」。

違いは色々あるのですが、耐震の考え方の違いが、大きな差のひとつ。今回は、youtubeにアップされている実物大住宅の耐震実験の動画を見ながら、その違いを考えてみます!

 

まず、それぞれの特徴を簡単にまとめると以下の通り。

在来工法(剛構造)

材の加工はほぼプレカットで、柱と梁のつなぎ目は金物で補強。

壁面にはボードなどを使う。

地震には固く抵抗する。

伝統構法(柔構造)

材の加工は大工さんの手刻みで、金物に頼らず、基本的には木だけの継手などで組み上げる。

壁面は土壁や板壁。

地震には粘り強く耐える。

こちらのページに、もっと詳しく解説があります。

 

まあ今回は難しいことは抜きにして、動画を見てみたいと思います。
まず、在来工法の実物大耐震実験です。

耐震性能に自信があります!というための動画なのでもちろんですが、確かに固そうです。ハコ状のままガタガタと揺れている感じです。剛性を高く、つまり固く作って地震に対抗するということですね。

在来工法は、柱と梁の接合部は金物で持たせています。また、固い壁(高い壁倍率)を固定している上下の接合部がその力に耐えられるかが問題になってきます。つまり、木の家ではありますが、最終的に力を担保しているのは、金物の強度次第なのです。断熱性能が格段にアップしている今の建物にあって、金物が錆びるようなことはないのか、また想定値以上の地震波が繰り返し来た場合などはどうなのか、という心配は、長期的にはあると思います。

 

つづいて、伝統構法の実物大実験です。

ちょっとトウフっぽい?コンニャクっぽい?にょろっとした動きが分かるでしょうか。揺れることで力を逃しつつ、変形はするのですが、そこから耐えて、室内の居住空間は残り、中の人の命を守ります。ゆがんでも、また戻して直すこともできます。(実はこの実験は、建物の足元を石に立ててあるものと、基礎があるもののの比較なのですが、そこは今回はスルーします)

柔構造は、柔らかいという言葉のイメージから、最初からぐにゃっとするように思いますが、初期剛性は同じ壁倍率のものと同等にあり、その後も粘り強く耐える、という動きになります。(現在の耐震の評価基準になっている「壁倍率」は、力が加わった最初の強さだけの比較で、その後の粘り部分は強度にカウントされていません。「粘り倍率」みたいな別の指標があってもよさそうですよね。)
壁倍率が大きい壁は、それだけ大きな力がその周囲にかかるので、

 

在来工法について、伝統構法の構造の第一人者、丹呉明恭・山辺豊彦さんは以下のように書かれています。

現在一般的に行われている、四隅に通し柱を置き、柱のスパンで梁せいを変えて、梁の上端を揃えて蟻落しで接合する方法は、構造的には柱も梁も切れている一貫性を欠いた方法
(渡りあご構法の住宅のつくり方P40 )

在来工法を悪者にするつもりはありません。きちんとつくってあれば問題ないですし、工期短く、費用抑えめ、という点では圧倒的にかないません。

ただ、どこまでも強度を上げるという発想は、自然を制御しようとする科学技術側の考えだなあ、と思うのです。(科学技術系学部卒で脱落組の私です)。絶対に壊れないことを追及していけば、住まいは要塞か地下シェルターのようなものにならざるをえない。それは、生き物が暮らしていくのに自然なハコだとは思えないのです。

伝統構法は、地震という圧倒的な力の前では無力だから被害少なめにやり過ごす、日本人らしい知恵のように思えます。と、感覚的なことを言うと、レトロな感傷みたいではありますが。。。
これまでの地震で古い建物が多く倒壊してるじゃないか、というご指摘もあると思いますが、そもそもかなり古い建物は壁がほとんどなかったり、シロアリなどによる劣化などの理由で倒壊することはあります。

確かに伝統構法は、これまで「大工さんの勘」に負う部分も多く、実験の数値も出にくく、分からないことも多い。でも、上記の実物大実験など数値的な解析も進んでいるところです。現在の知恵も取り入れられた伝統構法、もう少し広まってもいいはず!

という訳で、なぜ伝統構法?の理由の一つが、この「柔らかい耐震性能」なのだと思っています。

 

次の動画はちょっと蛇足ですが、。
二棟とも在来工法で、「耐震等級2の住宅」と、「同様の仕様でいい加減に施工された住宅」の比較実験です。施工がいい加減な方が倒壊する、という予想で実験されたけれど、固い方が倒壊したという伝説の実験!

いい加減の方も足元外れてますし、良いとは言えないですが、少なくとも倒れてはいません。いい加減なほうが、(なんちゃって)柔構造になっていた?ということなんでしょうか。(もちろん、いい加減にやわらかくするとか、手抜き工事とかを推奨するものではありません。)

 

ともあれ、こうして動画をみてみると、地震の時の挙動を、少しリアルにイメージできますね。
そのうえで、伝統構法に興味がわいたら、ぜひ見に来てくださいね。

 

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