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Landschaft

【土壁】中塗りが初期剛性を保っている。

公開日:2021-06-20 カテゴリー:伝統工法, 土壁, 左官, 木と土と竹の家 タグ:

現在荒壁さんは乾燥中。塗り終わって一か月ほど経って、一見カリカリです。

サッシ枠問題などで、工期伸び気味ですが、荒壁に湿気が残ったまま中塗りや断熱材貼りには入らないほうがいいので、まあ結果オーライというやつですね。ですよね。

 

今日はちょっと中塗りの重要さを語ってみます。実は中塗りが初期剛性を保っている。というお話。

荒壁は、大きく変形してからも耐力が低下せず、粘り強い挙動を示しますが、初期剛性はあまりありません。…ちょっと分かりにくいですね。ふつうの言葉でいうと、「荒壁は、揺れ始めに耐える固さはないけど、傾きが大きくなってからは、粘り強く持ちこたえる」といったところでしょうか。

 

その手薄な揺れ始めに頑張ってくれるのが、中塗りさんなんですね。

しももとさんにお借りした本に、その実験が載っていました。
荒壁のみ、片面中塗り、両面中塗り の3パターンの比較のグラフです。

文字入れてみました。両面中塗り、片面中塗り、荒壁。

荒壁では最初の部分がなだらかなのが分かるとおもいます。

 

 

壁倍率としての数字はこんな感じ。

三尺試験体の場合、荒壁のみで約1.3~1.8倍、裏返し塗りを施さなくても約1.0の倍率が得られた。また、中塗りを施すことで、片面中塗りは約2.0倍、両面中塗りは約2.7倍に上昇し、(中略)、
一間試験体では、荒壁のみで約0.9倍~1.2倍、裏返しを施さなくても約0.6の倍率が得られた。また、中塗りを施すことで片面中塗りは約1.2倍~1.3倍、両面中塗りは2.1倍~2.3倍へと上昇した。(後略)
(建築知識2003年2月号)

 

計算上は中塗り両面または片面55㎜で1.0倍、中塗り両面70㎜で1.5倍で計算していますから、実態はかなり安全側になっているということですね。

基準上では、片面でも両面でも同じく1.0倍とカウントされる、という資料がこちら。
(国土交通省住宅局住宅生産課木造住宅振興室、というところが出所の資料)

中塗土を両面に塗り、土塗り壁の壁厚7cm以上 → 1.5倍
中塗土を両面に塗り、土塗り壁の壁厚5.5cm以上 → 1.0倍
中塗土を片面に塗り、土塗り壁の壁厚5.5cm以上 → 1.0倍

 

施工の誤差なども考慮して、上記の数字までしかカウントできないけれど、実際はもっと壁倍率があるし、中塗りを両面塗るか片面かで、強度は結構違うということですね。

というわけで、中塗りは両面塗りましょう。というお話でした。

 

あとは窓がどのくらいこの変形に耐えられるかが、個人的には気になるところです。昔の木製建具とかならするっと逃げたりしたかもしれませんが、現在のはきっちり留まってますね。ガラス全部割れたら結構切ないですね。。。

 

 

 

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