【壁倍率】土壁7センチ塗れば、片筋交いと同じくらい!
土壁、ほんとに楽しいんだってば!
ということを伝えたいですが、今回は、ちょっと仕様の話をしてみます。
(壁倍率の規定は建築基準法施行令第46条で規定されているが、平成15年改正により告示1100号という補足規定が加わり…とか言い出すとめげるので、やわらかめに)
まず、前置き。
木造の設計時には、地震や風などに耐えられる壁(耐力壁)をつくって、それが建築基準法を満たすかどうか計算します(壁量計算といいます)。その壁量計算をするときの「壁倍率(壁の強さの基準)」が、土壁はこれまで「0.5倍」でしたが、「1.5倍」までカウントできるようになったのです。
壁倍率1.5倍というと、3cm×9cm角の片筋違いと同じ。貫と土壁だけで建物を設計することもできるのです。
どんな仕様?
そうカウントするためには、「告示1100号第1-5」で決めた仕様でつくってね、と書いてあります。
その仕様、以下に書き出してみます。
【貫】ー厚さ1.5cm以上、幅10cm以上@91cm以下ピッチで3本以上。柱との仕口はくさびで固定。
【間渡し竹】ー幅2cm以上の割竹または径1.2cm以上の丸竹を、柱および梁・桁・土台などの横架材に差し込み、貫にSFN25同等以上の釘で打ち付ける。
【小舞竹】ー幅2cm以上の割竹を4.5cm以下の間隔で配置し、棕櫚縄・藁縄・パーム縄などで、間渡し竹に締め付ける(※小舞竹のピッチはもっと広いほうが土がくっついてよいという意見もあります)
【荒壁土】ー100ℓの砂質粘土に対して、0.4kg以上0.6kg以下の藁すさを混合したもの。
【中塗土】ーは、100ℓの砂質粘土に対して、60ℓ以上150ℓ以下の砂及び0.4kg以上0.6kg以下のもみすさを混合したもの。
ちょっと分かりにくいですが、普通に土壁をやっている大工さん×左官屋さんなら大丈夫。
用語が分からない方はこちらを参照。
塗り厚は?
上記のものを以下の厚みで施工します。
中塗土を両面に塗り、土塗り壁の壁厚7cm以上 → 1.5倍
中塗土を両面に塗り、土塗り壁の壁厚5.5cm以上 → 1.0倍
中塗土を片面に塗り、土塗り壁の壁厚5.5cm以上 → 1.0倍
返し塗りをしなくていい5.5㎝で1.0倍などは、なかなかお得(?)なのではないでしょうか。
そんなわけで、現行の建築基準法上の仕様を、もちろん満たして土壁が作れます。
それ以上に、柔らか構造でもあります。
そして、自然素材。
さらに、つくるのがたのしい!
ということで、今日も地味に土壁をおすすめするのでした。