menu
Landschaft

【実は参加型DIY】冬が似合う、碌山美術館。

公開日:2019-01-29 カテゴリー:信州, 建築 タグ:

冬が似合う、碌山美術館

安曇野生まれの明治の彫刻家・荻原碌山。30歳で夭逝した彼の彫刻を見ることができる美術館です。

内部は撮影禁止ですが、代表作「女」などの彫刻が、学校のような簡素な空間におかれています。

新館の壁には、こんな言葉が。

蕾にして凋落せんも
亦面白し
天の命なれば
之又せん術なし
唯人事の限りを尽くして
待たんのみ
事業の如何にあらず
心事の高潔なり
涙の多量なり
以て満足す可きなり

展示を進むにつれ、まっすぐにはいかなかった碌山の人生を知ることができ、そしてこの言葉を見ると、胸を打たれます。

そしてこの建物、実は参加型DIYで作られています。

資金面も寄付によるものが大きかったそうですが、建築時も、隣接する穂高中学校の生徒たちが手伝ったのだそう。

中学生たちが授業時間を割き、建設を手伝った。
女子学生は一列に並んで、手渡しでレンガを運んだ。
男子学生はやはり手渡しで瓦を屋根に持ち上げた。
床の基礎となる石を一キロ離れた穂高川から運んできた。

この建設当時の様子を収めたフィルムが、グズベリーハウスというところで見られます。

こちらの新聞記事に詳しく説明されています。


設計は、今井兼次。欧州で建築を学び、ガウディを日本へ紹介した方。当時主流のモダニズム建築からは距離を置き、建築に職人の手の技を残す作品が多いといわれています。上記の新聞記事によれば、今井は、建築は建築家一人によって建つものではなく、職人をはじめとする「多くの人の手の、多くの人の魂の共同労作である」と考えていたとか。
魂の、共同労作。

魂の、共同労作。ですよ。

 

レンガも、きれいすぎるものではなくて、あえて焼き過ぎを選んだのだそう。

建築資金も乏しく、今井兼次自ら、ガラスに油絵の具を塗ってステンドグラスとしたなど、エピソードに事欠かない碌山美術館。もちろん地元の彫刻家という求心力があってのことではあるけれど、あたたかみと生命感のある建物は、やはり「多くの人の魂」の共同なのだなあと、実感させられます。

 

ドアノッカー。

朝9時と、正午と、夕方5時になる鐘をならすハンドル。
LOVE IS ART. STRUGGLE IS BEAUTY.

尖塔にいるのは、不死鳥。

冬に行くのがおすすめです。

sponsored Link