【お湯の温度は65℃】鶏解体の具体的手順。【安曇野・津村農園】
安曇野・津村農園にて、鶏解体してきました!
生きていることと死んでいること…とか、色々考えさせられる作業でしたが、まずはその手順を記録しておきます。元・鶏のプロの手順なので、きっとどなたかの参考になるはず。
※鶏解体途中の写真があります。苦手な方はご注意ください。
【1】鶏を絞める
鶏の足を持って逆さにしながら、首の頸動脈を二か所切ります。人間と同じで、右前、左前に二か所。
白い筒状のものは血抜きをする専門の道具。
頸動脈を切った後、首を後ろに曲げるようにしながら、この筒に入れます。
工事のコーンの先を切って、逆さに固定しておいて使ってもいいとのこと。
手持ちで絶命なさるまで待つのは、かなり厳しいです。足がバタバタしたり、返り血を浴びたりします。
【2】65℃のお湯に投入
絶命なさったら早めに(長く置くと固くなる)、羽をむしりやすくするために、お湯につけます。
お湯の温度は、65℃。
温度が低くても羽がむしりにくく、逆に70℃を超えても、羽と一緒に皮もむけてしまったり、たんぱく質が凝固して羽がむしりにくくなってしまうので、65℃±2・3℃あたりを保つのが大切、とのこと。
【3】60秒、お湯につける
お湯につけたら、均一にお湯につかるように、絶え間なくかき混ぜます。かき混ぜながら、60まで数えます。きっかり60秒がよいそうです。
【4】熱いうちに、羽をむしる
羽は、生えている流れに逆らう方向に取ります。足は、下(足首)から上に向かって。手は、手羽先の固い羽を取って、手羽先から根本へ。軍手などをはめた手で、撫でるようにとっていくときれいに取れます。(もちろん素人はそううまくいきませんが)
羽をきれいにしたあとには、羽でない細い毛のようなものが残ります。この毛はバーナーであぶって焼きます。
【5】解体する
ここまでくると、かなり精肉になられています。
モモの関節を外して、手羽を外して、ササミの筋を切ってからを引っ張るようにして取る…と進めていくと、写真中央の鶏のように、首と胴体だけになります。内臓は、心臓とレバー、砂肝を採ります。砂肝は胃の筋肉なんですね。切り開いて内容物と内側の膜を取ります。開くと、食べたばかりの草がでてきます。鳥はみんな胃に石を入れて消化するのに使っているので、砂肝を切り開くとザラザラっと砂が出てきます。
手早く進んでしまったので、このへんの写真はなし。次の機会に詳細も追ってみたいです。
そして、料理して、いただきました。
こちらは信州地鶏さんですが、しっかりした歯ごたえがあり、味わいも別格。食べた量とは関係なく、満腹感というか、満足感があります。鶏さんのいのちがこちらに入ってきた、という感じです。
本来動物性たんぱく質は、こうやって時々マツリゴトのように解体したものをご相伴にあずかる、といった程度の頻度で食べるものだったのだろうなと感じます。毎日毎食動物性たんぱく質をとるようなくらしは、考えてみれば不自然。毎日獲物が捕れることはなかったはずですし、こんなずっしりと重いいのちは、毎食とてもたべられそうにありません。言葉にすれば月並みですが、いのちをもらった分、まじめに生きよう、と思う味。
これも体験してみないと分からないことですね。
—
そんな貴重な経験をさせてもらったのは、安曇野市三郷小倉・津村農園の津村孝夫さん(写真左)。
アイガモ農法をはじめ無農薬無化学肥料の農作業はもちろん、木を伐採して掘っ立て小屋もつくるし、機械も溶接もOK、養鶏から解体まで、虫にも詳しい・・・という自力で生きる術のかたまりのような彼は、地球が滅亡するとき最後まで生き残る人間の一人だと思っています。実は私の、10数年前の青年海外協力隊の同期(アフリカ隣国)でもあります。この写真では、ツリーデッキつくってますね。
津村農園では、農作業のお手伝いも受け入れていますし、近日中に料理人の奥さまHさんの飲食店も開業予定!
下の写真は、稲刈りの時のもの。wwoof(ウーフファーム)の受け入れをしているので、外国の方が滞在していることも多く、話しているとどこにいるのか一瞬分からなくなることもしばしば。
都会で大きな企業に勤めなきゃいけない、といった固定観念に囚われてしまった方も、人ってこんなふうに生きていけるんだ、こんなふうに生きていいんだ、と目からウロコがぽろぽろですよ。
かわゆすぎるアイガモひなさんたちの季節ももうすぐです。
ぜひ一度訪れてみてくださいね!