【荒壁その後。】中塗りまでを一挙公開するよ!
全国1千万*の土壁ファンのみなさま、お待たせしました!(*にわかファン含む)
土壁のその後が気になってしかたがない…ですよね。木組み土壁のカフェ@松本三溝、梅玄(うめくろ)さんの土壁、進捗ご報告しますー!
【かえし塗り】
荒壁土を塗った裏側は、「むにゅ」がでていましたね。(むにゅが分からない方はこちらで復習)
それをつぶすように「かえし塗り」をしていきます。むにゅが固まりきる前、翌日か翌々日までに行います。
竹小舞と土がくっつくことで、壁としての強度がでてきます。
(耐力壁という耐震の考え方でも、両面中塗りで壁厚7cm以上であれば、3cm×9cm角の筋かい(よく見かける斜めの部材)と同じくらいの強さ(1.5倍)、とカウントすることができます。新築でも土壁OKですよー!)
かえし塗りをした乾きかけはこんな感じで、
しましま。
乾いたところ。
そして2・3週間たったらこんな色味に!
土の中の成分が酸化するなどして、色が変わるようです。
こちらは、荒壁土が少し足りずに、10年近く寝かせてあったという土を使った部分。
千利休がつくった国宝の茶室「待庵」の壁のようです。(見にいったことあります)
こちら→
(画像はこちらからお借りしました)
この上に、中塗り・仕上げをすることになります。室内はまつださんが本職の腕をこれでもか!というくらい見せつけてくださるはずなので、みんなで塗るのはここまで。
荒壁が完成した段階で、竹小舞・荒壁ワークショップのみなさんと飲み会開催!わーい!
なぜだか花火まであがるしー!
みなさんのもちよりごはんと、何だか貴重なお酒がでてきたり。
素敵な夏の夜でありました!
さらにわき道にそれますが、こちらのたてもの、天井はヒノキです(柱も床もですが)。
左の1スパンがトイレで、それより右は裏方の作業場。つまり、お客さんに見える部分は節が少ない材となるようにしてあるのですね。すべて節なしとすると価格も上がってしまうし、節がある方が強度も出るし味もあるという考え方もあるのですが、こういう木づかいの配慮が、完成した時のすっきり感をつくるのだなあと。
うーん、しももと建築恐るべしです。
梅玄店主:Rさんの梅干しも干されていたり。
夏だなあ。
さてさて、土壁に戻りまーす。
【貫伏せ・チリ廻り塗り】
貫(ぬき)というのは、柱に通した水平部材(建て方タイムラプスで柱の横に通している材。分からない方は復習をどうぞ!)。
チリというのは、南米の国でも社会の科目でもなく、壁と柱など違う部材同士のさかいめ部分のことです。
この写真が分かりやすいでしょうか、左がBeforeで、右がAfterです。
土の収縮によってできた、貫の上下・柱とのさかいめの部分の隙間を埋めていく工程です。
使うのは、砂を混ぜた土。
配合は「諸条件を考慮した総合的判断」によるとかよらないとか…ご興味ある方はお問い合わせください笑。
以前ご紹介した小坂商会さんでも、中塗り土は買うことができます。
外側が乾いたところ。ひび割れてます。
さらに2・3週間後。
こちらも色が変わってます。
内側とはまた違う色味ですね。
塗るところを霧吹きで湿らせて。
荒壁土がもう乾いているので、塗ってるそばから水が抜けていきます。スピード勝負ですよ!
チリ廻り…は、私がやったところの写真しかなく…。これを代表例として載せておくと各方面から怒られそうですが、ほんとうはもっときれいな仕上がりです!
チリ廻り塗りには、のれん・ひげこ などといった工程が入ることもあります。
つづいて貫伏せの様子。
今回は麻テープを使います。ワラを並べることもあります。
伸縮などの動きがあった時に、亀裂が入らないようつなぐ役目を果たしてくれます。
貫の上下と貫の上に中塗り土を塗った後、麻テープをはりつけて、
さらにその上から土を塗ります。
これは私が塗ったところ。荒壁土とはまた違う塗り心地。すぐ乾いていってザラザラの砂が出てきてしまう感じで、つるっと仕上げるのは難しいです。
そして、しろくま食べました。
夏だなあ。
【底埋め】
次の工程は、底埋め。チリ伏せと貫伏せに囲まれた部分に土を塗っていきます。
鳥の足あとみたいなのは、次の工程の土が載りやすくるためのヒガキ。
底埋めまで終わったところ。
【中塗り】
底埋めまで終わったところに、全体を平らにならすように改めて中塗り土を塗っていきます。
電池切れであまり写真がなくてすみません。
自分が貫伏せしたところは自分で中塗りしてきましたよ!
一面平らになりました。これで、中塗りまで完成!この上に断熱材を入れて、板壁が貼られます。
これで土壁作業は終了!ですがみなさん、土壁ロスですよね~(←強制?)
土壁は、たくさんの人たちが関わって、ここまで形になってくる、というのが、やっぱり面白いなあと思います。昔の結(ゆい)というご近所の共同体は強制だったかもしれないけれど、今はそれを楽しめる形をつくることができると思っています。
壊れかけの蔵をみんなで寄ってたかって塗りたい方から、もちろん新築まで!ぜひご相談くださいね(←営業?)
まつださんの左官もまたお邪魔してレポしたいと思います。
土壁イラスト図解シリーズも次を描きますので、どうぞお楽しみにー!