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Landschaft

100年後、この床のよさに気づいてくれるあなたに。

公開日:2021-07-12 カテゴリー:伝統工法, 木と土と竹の家 タグ:

床張りが進んでいます。

床張りは、工期1か月半の予定。普通の床張り工期を考えると、どきっととするほど長いのですが(笑)、しももとさんコダワリの床張りを見れば納得せざるを得ません。
床板を全部元を下にして立てかけて広げて、ランク分けして。柱との絡みを加工して、敷居との実をつくって、サッシも入れて。別室の板の割り付けも合わせて考えて。そりゃ時間もかかります。

小口側も木目が合うようにして貼っていきます。分かるでしょうか、板の端っこの木目に似たものを、次の板に選んでいるという…。

ランク分けの中に、右と左、というカテゴライズがあって、どういうことかと尋ねたら、家の外周に元(根本側)を持ってくるのだそうです。外周の方が、日が当たったり過酷な状況になることが多く、そこに根本側を持ってくるのだそう。小屋組みの梁などでそうしているとは聞いていましたが、床板も!

これだけ考えて建てるからには、
建ててもらう側も見る目を育てないと。
そして、この技術を引き継ぐ人を育てないと。

YouTubeだけじゃなくて映画が必要なように、
Twitterだけじゃなくて文学が必要なように、
セルフビルドだけじゃなく伝統構法も必要なんだと思っています。

 

そんなこんなでいろんな下準備ののち、30ミリ厚さのアカマツ床板を大引に釘で直止めします。手打ちです。2寸釘、かな、かなりの長さで、ちょっとやらせてもらいましたが、外して床板叩きそうです。

普通の床張り方法は、まず合板を張って、その上に15ミリくらいのフローリングにボンドをつけ、フロアタッカーという電動工具で留めます。ボンドと、そのホチキスの先端にも接着剤がついています。床のきしむ音などを防ぐためという名目で、べったり固定してしまうんですね。なので、フロア材を再利用可能な形で外すことはできません。

古民家で、古材をバールで外したりしてますが、今回の床板はそれができるようになってます。100年後にはどんな艶になっているんだろうなあ。100年後の方、どうぞお楽しみに。

 

また、実はこのアカマツも貴重になってしまってます。
アカマツは、松枯れの影響があり、信州ではここ5年ほどでどんどん枯れていっています。気候変動や、アカマツが先駆的樹種であるという事情もあるので、この流れは止められません。
こんな厚みでこんなきれいな材が取れるのは、大径木のアカマツなのですが、それがどんどん枯れています。こんなに贅沢に床板に使えるのは、あと10年もないのではないかと、しももとさんも香山さんも言っています。

 

きれいなだけじゃなくて、実は色々考えさせられる床です。

 

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