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Landschaft

60年の木を切る。信州カラマツ。

公開日:2017-07-01 カテゴリー:信州, 林業 タグ:,

ソマミチさんつながりで、試験伐倒に同行させていただきました。
伐倒(ばっとう)、というのは、木を切り倒すことです。

このエリアには、「財産区」という、地域で山などを共同所有する仕組みがあります。みんなで山を所有し、大きく育ったら売ろうという狙いだったわけですが、当時の思惑通りにはいかず、現在では残念ながらお荷物になってしまっている山も。

ではそれを今後どうしていこうか、というお試しカットだったという訳です。

今回の山は、60年前に植えたカラマツ。

カラマツは寒さに強く、長野県ではかなり植林されてきました。ベニア材などに使われることが多いですが、潮風に強いといった特徴もあり、外壁材など、新たな使い方が今まさに広がってきているところ。柱や梁などの構造材とするとねじれも出やすいですが、それも木取りや乾燥方法などが研究されています。また、80年、90年と育っていくと、建具にも使える銘木級になったりもする、不思議な木でもあるようです。

切り倒す様子は動画を撮っていたので写真がないのですが…(また動画をアップします)、こちらが切り株。

高さ・太さ・年輪などを調べ、どんな材に使ったらもっともこのカラマツが活かせるか、と検討します。


ちょっと右に曲がっているのが分かるでしょうか。

針葉樹は傾いてくると、傾いた側を分厚くしてそれを支えるのだそうです。
(ちなみに広葉樹は引っ張る側を分厚くするのだとか)
だから、この写真↑でいうと、右側に傾いてきたので、右側を分厚くして支えようとした、ということですね。この曲がりを支えようとした部分をアテといい、材にしたときにも曲がりの原因になったりします。

そういった木一本一本の特徴を読み取って、どの長さで切るのかを決めます。

私もチェーンソー使ったことありますが、腕が筋肉痛になります(筋肉痛好きです)。
そして木の重心などを考えないと刃が挟まったり材がころがってきたりして危険。
見ているとサクサク切っているようですが、そうでないのが、やっぱりすごいところ。

切った長さと、細い方の直径(末口=すえくちといいます)をチョークで書き込みます。

これは、長さ4mで、末口22センチ。

枝が太いと、材にした時に節(ふし)が大きくなってしまうので、材としてはイマイチだとか、曲りや割れがあるかどうかなどをみて、A~Cまでのランク付けをします。ざっと見てこれじゃダメだとすべてチップにしてしまうと、輸送費もでないようなことになってしまう。そんな方向でしか見られないと、山はお荷物だと思われてしまう。
だから、外壁材、フローリング、ベニヤ、杭にするものまで、何に使うかを細かく見越して、できるだけこの木を活用してあげようよ、と。そんな風に、一本一本を活かすことが、山を活かすことなのですね。

またここは60年の森ですが、暖かいところの木は20年で同じくらいの太さ、長さも2倍弱に育つのだそう。同じ国産材でも、その方がやはりお安い値段です。でも、同じ太さでも年数が経っている方が、ぎゅっとつまっていますよね。そんな、寒いところだからこその特徴を、活かして使っていくことができるといいですよね。

ここまでお読みくださった奇特な方は、ぜひ胸高直径(きょうこうちょっけい)という言葉を覚えてお帰りください。胸の高さ(1.2mくらい)で測った木の直径のことです。木の高さと、この胸高直径の比率が、80程度までが健全な状態で、このあたりでは、100を超えてくると切ってしまった方がいいのだそうです(ひょろっとしすぎて、倒れる危険が高まるため)。

もちろん皆伐(かいばつ=あたり一帯全部切ってしまうこと)ではなく、周りの木との関係などを読み取って、残す木を決めます。葉っぱがまだたくさんついていれば、今後もすくすく育つので、そういう木を選んで残します。ちなみにカラマツの場合、高さの3割くらいは葉っぱが残っている方がいいそうです。

以前お邪魔した荒山林業さんの森は95年

こんな銘木を、これからこの山の子たちも、目指して行けるといいですね。

そんな風に、まだこれから育てていくものと、今の段階で間伐しながら活用するもの。
そして種から勝手に生えてきた実生(=みしょうといいます)の広葉樹と合わせて、
これからも森を育てていきましょう、というお話でした。

そんな愛のある山しごとをされているのが、山仕事創造社の香山さん。

昔は哲学をされていたとか。本質を見抜く林業は、確かに哲学的かも。

カラマツの外壁材などを開発されている、林友ハウス工業の竹腰さん。
木取りの企業秘密レベルのお話も伺いました。

職人気質でまだ目を見て話をしてもらえませんが…負けないぞ。

今回お誘いくださったのは、林業という、おじさんの…巣窟(失礼ですね)で、社長をされている、柳沢林業の原薫さん。おじさんの…巣窟(失礼ですね)で社長をされているだけのことはある、強さと柔らかさを兼ねそなえた方です。
そしてすごい美人さんです(とは言われ飽きているであろう)。

ハンドボールで全国2位だった過去があり、握力がはんぱないらしいです。
(輪尺(りんじゃく)という、でっかいノギス(ノギスも分からないですね…直径を測る道具です)で直径を測っています。)

 


しかし、これが仕事のフィールドって…またすごい人たちだなあ。

この切った材、人力で山から出すとまた楽しいんだけどなー。
トビという道具で、方向を調整しながら、縄をつけてみんなでひっぱります。

ワークショップ、しますか!

 

コメント

  1. 赤羽洋紀 より:

    柳沢さんのFBのリンクより来ました!
    先日お問い合わせいただいた堀越さんでしたか☆
    カラマツの記事、楽しく読ませていただきました。
    今後ともよろしくお願い致します。

    • landschaft_rootm より:

      赤羽さん、コメントありがとうございます!
      材になる前の木を見る機会はなかなかないので、とても面白かったです。
      今後とも、よろしくお願いいたします!

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